Shior Modern Oddity TLへの道 〜其の一

Aug 10.2021

待望のShior オリジナル・ギターが遂に完成だ!!
しかも、日本を代表するギタリストの名越由貴夫モデル。
木材、ピック・アップ、配線材、ハンダ、ネジまで、、、細部において
こだわり抜いたモデルとなっている。
オリジナリティ溢れる木部と回路は、名越由貴夫と共に
何度も何度も見直し、聴き直し、弾き直し、素晴らしいバランスとなっている。

基本的な仕様から説明する。
ボディはライト・アッシュ
その中でも特に軽量なものをチョイス。
初期のテレキャスターに近い重量感。

cL

指板は50年以上エージングされた
特別で希少なブラジリアン・ローズウッドと
とても木取りの美しいメイプル・ネック。
創業41年、百戦錬磨のヤマ楽器のギターに対する
心意気を感じる精度の高いネックだ。
初のオリジナル・ブランド立ち上げ
気合が入って当然。

Shiorのロゴは
香川県在住の山口一郎画伯による
手描きの燕デザイン。とにかく人気の天才画家の冴えた感性。
塩入氏の家に毎年来る燕からの閃き。素晴らしい。
信州松本のヤマ楽器から沢山巣立ってほしいという願いのロゴだ。

Shior Modern Oddity ロゴ

ピックアップはKARIYA-PICKUPS製

ギタリストのわがままに答えてくれるカリヤ・ピックアップの刈谷稔氏による
とても繊細で丈夫なピック・アップ。
まとまりました。とても美味そうです。

Shior Special TL
フロント 8.2 KΩ
ブリッジ 9.4KΩ
アルニコ 5

指板Rに合わせた磁石。磁力にもこだわった。
特別に工夫されたシールドと極太の絹糸。
ピュアな日本蜜蜂の蜜蝋を使用している。

柔らかすぎず、硬すぎず、とても明るくて自然な蝋。

石油系パラフィン、イボタ蝋、西洋蜜蜂、木蝋、カルナバ蝋
蝋にも色々ありますが、その中でも日本蜜蜂の蝋はとてもとても愛すべき音。

従来のシングルコイル・ピックアップよりも
工夫されたシールドによってノイズが少ない仕様。
パンチがあり、明瞭にエネルギーを拾い上げる。
しょっぱなのバッファ、歪みエフェクターを踏んだ時
その違いを大きく感じる事でしょう。
近年はイヤモニ、耳元でノイズ。
少ないノイズで抜ける音なら
その分、他の楽器にレベルを譲る事ができる。
もちろんガツンと出る時は前に出るピック・アップ。
セス・ラバー、レオ・フェンダー、レス・ポール
セイモア・ダンカン、ディマジオ、全てのピックアップ製作者への
リスペクトのピック・アップだ。

アウトプットまでプラス回路、マイナス回路、シールド(グランド)
アイソレーションされているのでバランス仕様のステレオ・ケーブルもOK。
将来的にとても可能性を秘めた配線となっている。

ボリュームとトーン回路
工夫された独自のアイデアで
ポットの誤差は±1%以内に留めている。
斬新なアイデアで長年の課題であるポット誤差とハイ落ちを
とてもスムースにしている。(実用新案 登録番号:3231310 特許申請中)
是非ともこのアイデアから更に進化、さらに工夫を進めてほしいと考えている。
経年変化による誤差の修正も可能。
(車検の様に定期的なメンテナンスも受け付けています。是非ご利用下さい)

テーマは『燃え上がるような音』『弾き手のエネルギーを通す』

配線材はコットンの絶縁、18AWG
ハンダは名越由貴夫、清水ひろたか二人が
お気に入りのヴィンテージ・ハンダをチョイス。
詳細は不明だが、40~50年代と予測される。
とても保存状態の良いものを確保。
メイン・テーマは『燃え上がるような音』『弾き手のエネルギーを通す』だ。
あと何本作れるだろう?

ネックとボディのメイン塗装は『スピリット・バーニッシュ・レリック』

ボディはゴールド&プラチナ箔。
見る角度、時間帯による光の変化で
色彩感が変化する。
プラチナの持つ金属中、穏やかに最もフラットで幅のある光の反射率特性と
ゴールドの持つ錆びないとても安定した特性。
トップコートのシェラックをベースにした
『SPIRIT VARNISH RELIC』の光と音への影響は
とても素晴らしい音のバランスとなっている。
塗装の歴史的には、これはとても古い手法で
元祖ラッカーとでも言えば良いのか?
古い時代のガラスを貴方は目にしたことがあるだろうか??
少しゆらゆらした深い味わいのある温かい面。
それに近いものがある。絵画の様に複雑に乱反射する色味。
『SPIRIT VARNISH RELIC』は木部の美しさと音をブーストする
大量生産前の時代に戻った塗装だ。
一本一本、丁寧に
何度も何度もタンポで擦り込み、研磨を繰り返して完了する。
別名はフレンチ・ポリッシュ。
とても脆く儚く弱点も多い塗装ではあるが
音の立ち上がりの速さ、明瞭さ、美観は
他で追いつけない良さがある。塗装は音の重要な要素。
エレキ・ギターの方が顕著に作用する。
これは妥協してはいけない部分。
今後の研究が楽しみだ。

一番最初に手にしたギターを貴方はどんな気持ちで弾いただろう?
大好きなギタリスト、名越由貴夫に弾いてもらえるのは本当に光栄だ。
『ギターは宝物』と思い出すモデルだ。

(文 清水ひろたか)

次回は

Shior Modern Oddity TL への道 〜其の二
名越由貴夫に制作秘話を聞く

つづく